2012年1月31日火曜日

月がとっても蒼いから



寒空を見上げると、
ナイフで切ったような
きれいな半月が頭の上にあった。

そのまわりを見渡すと、
また冬の夜空は吸い込まれそうなほど
星を輝かせていたよ。

急にコーヒーが飲みたくなって、
通りすがりのドーナツやに入った。

そうしたら

君によく似た人を
店の中で見かけたよ
長い髪を丸く束ね
ちょっとすました感じ

違う人だとはわかっているのに
何故か胸が苦しくなって
パーティション越しに
首を長くして何度も
気づかれないように
見てしまった

違うとはわかっているのにね
コーヒーのおかわりをもらったところで
彼女は店をでる準備をはじめた

二階の窓越しから
彼女の行方を眺めているうちに
急に追いかけたくなって
テーブルの上の荷物を
そそくさとバッグに仕舞い
追い立てられるように
その場所を出た。

だからといって
何をどうしようと思ったわけでないけれど
胸の不連続に響く鼓動が
僕を駆り立てていた。

でも結局、彼女の姿を
もう一度見つけることは出来なかった。

そんなもんだよ

歩みを止めた時
そこに教会があった。
白い作りの小さな建物だが、
ここには昔からあって、
何度か結婚式を挙げてるのを見たことがあった


神様の話をすると
僕らは必ず最後は喧嘩になった
彼女はキリスト教で
イエスの信望者だった

別れた理由は宗教の違いというわけではないが
どうして彼女は神様の話をする時はいつも
あんなに真面目になったんだろう

ああ、月が蒼いなぁ

その裏側から顔だしてくれよーーーー!

月がとっても蒼いから